金研究室
研究テーマ
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ソフトマター物理, 複雑・構造流体,化学物理
具体的な研究内容
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私はこれまで液体論を中心に理論・シミュレーションによる研究をおこなっています。分子が強く凝縮した液体状態に対する基礎的な理解は、物理学・化学・生物学・地学あるいは工学など多くの方面から求められ、そこで液体論は、剛体球やLennard-Jones流体など比較的単純化された系に対して統計力学理論の応用の場として古くから発展し物性物理学の一つの柱として大きな成果をもたらしました。事実この分野では、久保亮五の線形応答理論、森肇の射影演算子法、川崎恭治のモード結合理論、能勢修一の拡張アンサンブル法といった世界的な貢献が日本から発信されたのは特筆すべき点です。
現在、液体論はガラス転移・コロイド・粉体など複雑・構造流体(Complex and Structured
Fluids)またはソフトマター(Soft
Matter)と呼ばれる「単純でない物質」へ展開されています。強い非線形・非平衡性から生じる著しく遅い緩和や粘弾性特性など通常の液体とは異なる複雑流体が示す種々の興味深い現象は単純化や理想化することが難しく解析的な計算では扱いにくいケースが多く、そこで計算シミュレーションが極めて重要な手法となっています。私は複雑流体で代表的な主にガラス転移とコロイドについて計算シミュレーションとその理論解析を中心に研究を推進しています。
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