新潟大学理学部物理学科山田研究室
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超伝導のひみつ
     
    超伝導 (ちょうでんどう, Superconductivity) とは、電気抵抗がゼロとなり、磁場を排除(マイスナー効果)しつつ磁束が固定される(ピン止め効果)のが同時に見られる現象をいいます。    
   

電気抵抗がゼロになると、電流を流してもエネルギーを失わないません。

磁束は超伝導体の中に入ることはできないので磁場を払いのけてしまいます。

   
    超伝導体とピン止め      
   

イットリウムを含む銅酸化物(YBCO系)など高温超伝導物質においては、超伝導と常伝導が共存する場合があります。このとき磁束を物質に通すとどうなるでしょう?超伝導となっている場所を除けて常伝導状態の場所を通過します。ひとたび試料を貫いた磁束は、周りが超伝導であるために逃げ出すことができず、その場所にとどまります。これを磁束のピン止めと呼びます。

   
   
磁気浮上車
   
   

「磁気浮上車」の車体には円盤形のYBCO高温超伝導体が収められています。 車体に液体窒素(液体窒素の沸点は約77 K=-196℃)を注ぐと、YBCOは超伝導状態になります。 この状態で「磁気浮上車」を磁石のレールの上に乗せるとフワリと車体が浮きます。浮いた状態で、指で軽く車体を押すと、レールの上を脱線することなく走り続けます。磁石の上でふわりと浮かんでいるのは、マイスナー効果のせいです。それではなぜ脱線しないのでしょうか?

   
   

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    磁束のピン止めと磁気浮上    
   

磁石のレールの上に載せたとき、超伝導ではないところには磁束が入ります。この部分では磁束はピン止めされるてしまいます。ひとたびピン止めされた磁束はその形が保とうとします。そのため磁気浮上車はレールの上を外れずに走ることができるのです。

   
    ピン止めとフィッシング効果      
   

磁気浮上車は超伝導状態で磁石の上に置いて浮上をしました。では、常伝導状態で磁石の上において、そこで超伝導にしたらどうなるでしょう?常伝導多状態ではたくさんの磁束が通っています。その状態で超伝導にするとたくさんの磁束がピン止めされます。そのピン止めされた磁束の力は重力に打ち勝って磁石を浮かすほどになります。