物質量子科学研究センター
新潟大学 物質量子科学研究センター
Center for Quantum Materials Science
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2014
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物性コロキウムのご案内
日時:12月20(月)15:00~16:00 @ zoom
講師:鳥飼 正志 准教授(三重大学工学研究科)
題目:自発的な構造形成の逆問題
原子・分子やコロイドなどの粒子からなる多体系では、温度・密度や圧力などの適当な条件のもとで構造が自発的に形成される。固体である結晶や、流動性と配向秩序を持つ液晶相などはその代表例である。何らかの意味で有益な構造・物性を持つ物質の探索は重要な課題である。
多体系で形成される構造・物性は、構成粒子間の相互作用ポテンシャルによって決定される。粒子間相互作用が与えられたとき、その粒子系が自発的に形成する構造を求める方法(構造形成の順問題の解法)として、既に多くの計算機シミュレーション法や理論的方法がある。これらの方法を利用して、与えられた粒子系において形成される構造およびその性質を解析し、有益な性質を持つ物質を探索する研究が数多くなされている。
逆に、有益な性質を持つある特定の構造を自発的に形成する粒子を見出すには、どのような方法があるだろうか。前述の粒子間相互作用から構造を求める方法を使うとすれば、さまざまな種類の相互作用を網羅的に試して目標の構造が得られることを期待するしかない。この方法では非常に長い時間がかかり、現実的な時間内には実行不可能な場合もある。この探索を効率的に実行するには、「構造形成の逆問題の解法」、つまり目標とする構造の情報を元にして、その構造を自発的に形成する粒子間相互作用を見出す方法が必要である。
本研究では汎関数の変分法を利用してこの逆問題を解く理論的手法を構成し、結晶構造に適用する。液体論でよく使われる密度汎関数法では、与えられた外場(示強変数)のもとでの自由エネルギー汎関数を利用して密度分布(示量変数)を得る。その方法の示強変数版として、与えられた密度分布に対応する外場を求める方法を構成できる。この方法を応用することにより、与えられた構造から粒子間相互作用を求める方法が得られる。物質の構造を表す密度分布としていくつかの二次元結晶および三次元結晶構造を選び、この方法を用いて粒子間相互作用を予測した。こうして得られた相互作用をもつ粒子系のモンテカルロシミュレーションを実行し、大半の結晶構造が実際に自発的に形成されることを確認した。
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センターロゴデザイン 奥西 巧一 准教授