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フェルミ面とf電子
フェルミ面は金属の”顔”とも言われ、伝導電子の状態を直接的に反映しているものです。フェルミ面の研究は重い電子系の物理の研究に対して大きな役割を果たしてきました。例えば4f電子を一つ持つCe化合物では、4f電子が局在的であること、または遍歴的であることが物性に大きく影響を及ぼします。フェルミ面を明らかにすることで、直接的に局在性・遍歴性について議論できる数少ない研究手段のひとつです。また、反転中心のない系において、フェルミ面はその影響を直接的に観測できる有力な物理的な量です。
私たちはフェルミ面を研究するためにドハース・ファンアルフェン(de Haas - Van Alphen [dHvA])効果の実験を行なっています。dHvA効果の実験からはフェルミ面だけでなく、有効質量の情報も得ることができます。特に重い電子系は磁場に敏感で、電子状態がどのように変貌するかを調べるのに大変重要な実験手法です。
下の図は銅のフェルミ面を紙粘土で作ったものです。ほとんど球状なのですが、111方向にある突起(ネック)があります。ロゼットや犬の骨と呼ばれるような形のフェルミ面が現れます。フェルミ面を明らかにすることで、磁気抵抗や理論との比較からバンド構造に関する理解を得ることができます。